月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 晩餐会のときに私と他の人に向ける目が違うことに気づいたけど、態度もだいぶ違うらしい。

 私が紅くんに好かれているのは知っていた。

 でも、それがどれくらいかなんて考えたこともなかった。

 紅くんにとって私がいかに特別かが明確になっていく。

 それを嬉しく思う反面、かたどることすらできないほど不明瞭であって欲しい。

 相手への気持ちの限界が分かるってことは、人間関係の終わりを意味するから。






 いつもなら幹部たちも集まってみんなで夕食をとるけど、今日は食後に2人きりで話したいからと断りを入れ、紅くんと私だけで食べた。

 食事中の紅くんは普段通りに振舞ってはいたけど、その目には不安の色が見え隠れしていた。

 向かいに座っているから、一挙手一投足が視界に映る。



「ねぇ紅くん」

「うん」



 お茶で喉をうるおしたところでそっと切り出すと、机上に置かれた紅くんの手が強ばった。