月詠家から晩餐会という名の社交パーティーにやって来たのは紅くんと私と、紅くんの補佐をやっている朱雀と、長らく本部の管理をしていた蘇芳、それに私の護衛の撫子と長春と数名の構成員たちだった。
会場は床が大理石でできていて、シャンデリアがピカピカと煌めいている。
白いテーブルクロスがひかれた机には料理も飲み物も高級そうな品がずらりと並んでいた。
まるで豪華絢爛を体現したような空間だ。
できることならレースごしじゃなくて直接この目で見たかった。
それが出来ないのはここに入る前に紅くんにレースのついた帽子を被らされたから。
おかげで綺麗に整えた髪が全く見えなくなったし、顔もほとんど隠れてしまった。
なんでも「茜の髪色は珍しいから人を見られたら困る」とのこと。
さっきのキスマークのときとは違う真剣さがあったので、素直に受け入れることにした。
いつもは時峯家の現当主である時峯藤治の挨拶から始まるらしいけど、今回はほかの予定と被ってしまい省略された。
そのせいでパッとしない始まりになったけど、全く知らない人の話を長々と聞くのは大変だから良しとしよう。



