月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 その流れでスっと顔を近づけてきたから押し返した。

 残念だけど、今キスされたら困る。



「口にしたらリップ落ちちゃう」

「じゃあ・・・」

「おでこもほっぺたもダメだよ。ファンデ塗ってるもん。だから今は我慢し──ん!?」

「ここなら大丈夫でしょ」



 耳輪に触れたふにっとした感触、耳元で囁かれた声。

 それだけで何をされたのか理解した。

 紅くんはチークよりも赤くなった私を満足げに見つめた後、首元に顔を寄せた。



「ここも」

「まっ」



 拒否する前に首元をチュウっと吸われ、離れるときにチクッとした。

 この感覚には覚えがある。



「・・・紅くん」

「どうしたの?」

「今、またキスマーク付けたでしょ」

「うん」