月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 紅くんは連日報告会に出向いていて、一緒に海に行けていない。

 せっかく部屋から眺める距離に海があるというのに、これじゃあつまらない。

 それでも迷惑は掛けたくないから広いリビングに居座っている。

 月詠家本邸は白を基調としていて、全体的に物が少ないから、無機質な感じがする。

 でもそばには撫子と長春がいるし、キッチンに行けば鴾がいるから寂しくない。紅くんが帰ってくれば安心する。

 ただ、本拠地に来ればもっと紅くんとの時間が増えると思っていたから、物足りなさを感じているのも事実で・・・。



「茜」



 それが伝わったのか、紅くんが心配そうにおでこをコツンとくっつけてきた。



「どうしたの?」



 言葉を詰まらせる私の腰をくいっと引き寄せた。

 今、私は向かい合う体勢で紅くんの上に座っている。

 だから一切の誤魔化しがきかない。



「茜、好きだよ」



 全てを見透かすような真黒い目で、ストレートに気持ちを告げてくれる。



「私も紅くん好き」



 包み隠さずお互いへの「好き」を伝え合う。