月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 陽のあたる場所に出るときは撫子が日傘をさしてくれたし、長春は3歩後ろで飲み物を保冷バッグに入れて持っていてくれた。

 初の長距離移動ということでみんな至り尽くせりだった。


 そうして到着した月詠家本邸は、昔ながらの日本家屋ではなく、まさかの洋館だった。

 紅くんと一緒に車を降りると、門から家まで構成員が並んでおり、全員が頭を下ろした。

 相変わらず全員の角度が一致している。

 その道を紅くんは当たり前のように進んでいくから、私もそれに習い隣を歩いた。



「お帰りなさいませ、若」



 玄関の前には一人の男性が立っていて、紅くんが前に立つとうやうやしく頭を垂れた。

 紅くんの「顔上げていいよ」を合図に全員がピッシリと姿勢を正した。

 それから目の前の男性の視線が私に移った。



「そしてお初にお目にかかります、お嬢」



 金と黒が混じった髪を後ろで結い、深い焦げ茶の瞳と褐色の肌を持っていた。



「初めまして。あなたが蘇芳?」

「左様でございます。これから何卒宜しくお願い致します」