そしてポツリ、ポツリと話し始める。



「茜。俺はね、茜以外大切だって思えないんだ」



 初めての告白だ。

 嬉しいような悲しいような、複雑な気持ちが渦巻く。



「だから茜が俺を大切にしてね。茜の大切なものならちゃんと守れると思うから」

「するよ。大切にする。私は紅くんが一番大切で大好きだよ」



 すべるように言葉が落ちた。

 紅くんは自分をどこか他人のように扱う。

 だからお別れした日、夜に溶けたかのように感じたんだ。

 今は闇より深い黒色ではなく、星の光と同じ銀色の髪をしている。

 それでも私の目には、いつか紅くんの存在ごと消えてしまいそうな、儚いものに映る。

 どうか紅くんがいなくなりませんように、という願いを込めて、頬にキスをした。