月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 撮影して良いとか悪いとか気にせずに自由気ままに笑いながら、2人きりの時間を満喫した。



 水族館から出ることにはすっかり日は暮れていて、更待月(ふけまちづき)が浮かんでいる。



 迎えに来た車に乗り込もうと一歩踏み出した刹那、紅くんに名前を呼ばれ────乾いた音と共に何かが足元を通り過ぎた。



 私の目には全てがスローモーションかのように写った。

 紅くんに左腕で抱かれ、両耳と視界が塞がれる。

 尚も銃声は聞こえ、紅くんが迎え撃った。

 一発一発の振動が私にも伝わってくる。

 絶対に脈拍が早くなっているはずなのに、鉛が撃たれる音しか聞こえない。



「撫子、長春」



 紅くんが低く呼んだ。



「「はい」」



 車から駆けつけてきた2人が私達の前に出る。

 カチャって音が聞こえた。