「ごめんね。ママがあかねちゃんとはあそんじゃダメだって」



 何回聞いたか分からない。

 でもこれが私が保育園児の時に一番言われたセリフだ。



「わかった。もうあそぼっていわない」



 それを言われる度に「あぁこの子もか」と落胆しながら私は受け入れてきた。

 先生はこのことに口出ししない。

 だって先生も私を腫れ物のように扱っていたから。

 だから私はいつも独りぼっちだった。

 お絵描きしたり、ブランコに乗ったり、すべり台で遊んだりするのも全部独り。

 かくれんぼも鬼ごっこもドッジボールもアルプス一万尺もまともにしたことがなかった。


 そんな私のところに、王子様が現れた。



「あーそーぼー」

「!?・・・何で俺?」



 私が長い脚にぎゅーっと抱きつくと王子様は怪訝な顔で見下ろしてきた。