前から羽振りがいいなと感じることは多々あったけれど、そういうことだったんだ。わがままな麻衣の周りに人が集まるのも、そういう理由があるからなのかもしれない。

 私はゴクリと唾を飲み込んで麻衣の手の中にある高級リップを見つめた。
 これくらいのものなら、本当にいくらでも買ってもらうことができるんだろう。

 自分には縁遠いことだけれど、もしもそんな人生が手に入るとしたら……?
「どうしたの真美。このリップが欲しいならあげるよ?」

 ジッと見つめすぎていたようで麻衣がリップを差し出してきた。
 欲しい。ゴクリと唾を飲み込む。