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 走って走ってようやく校門へ到着すると、里子はまだそこに立っていた。
「汗だくじゃない。どうしたの?」

 驚いた顔で言う里子に、私は無理やり笑顔を浮かべて「なんでもない」と、左右に首振った。
「プリントは?」

「うん。あったよ。これで怒られずにすみそう」
 ようやく呼吸が落ち着いてくる。都市伝説はただの都市伝説だ。これくらいのことみんなやったことがあるだろうし、気にすることじゃない。

 ただ少し後ろめたく感じているのは、きっと私の気のせいだ……。