麻衣は私と視線を合わせることなく答える。その態度が気に入らなくて私はムッと唇を尖らせた。
「前から思ってたんだけどさ、麻衣ってなんでそんな態度なの?」

 強い口調で質問すると、麻衣は慌てたように「別に深い意味はなくて」と言い訳をしはじめる。
「だったらどうしてもっと話し掛けてこないの?」

 昔は麻衣に憧れていた。麻衣の存在が眩しくて、麻衣みたいになれたらいいなと思っていた。
 それが今は冴えない、地味な中学生だ。

「わ、私なんかが一緒にいてもいいのかなって、思って」
 おどおどして、指先をいじりながら言う麻衣。

「ほら、私別に可愛くないし。両親がお金持ちなわけでもないし。それなのに、真美と一緒にいても不釣り合いだなぁと思って」
 麻衣の言葉に思わず口元がニヤけてしまいそうになり、慌てて引き締める。あれもこれも手に入れすぎて、麻衣の自信を根こそぎもぎ取ってしまったみたいだ。