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 もしも本当に人を交換できるのなら、もう少し華やかで楽しい友達がほしい。
 体育の授業が終わってからもしばらく落ち込んでいる里子を見て、私はぼんやりとそんなことを考えていた。

 たとえば麻衣みたいな子。
 その場にいるだけで空気を変えてしまうような、影響力のある友人がいれば、きっと自分ももっと明るくなることができる。

 決して里子のことが嫌いなわけじゃないけれど、つい考えてしまった。そして放課後になり、私と里子は一緒に教室を出た。
 窓から差し込む西日はどこか薄暗くて、空を見上げてみると黒い雲がかかっているのが見えた。

 雨が降るかもしれない。里子はバスだからいいけれど、徒歩通学の私は濡れてしまうかも。
 そう思い、早足で校門までやってきたとき、急に放課後配られたプリントのことを思い出して足を止めた。

「あ、プリント忘れてきたかも!」