だけど里子は肩を落として溜息ばかり。その様子にちょっとだけ気持ちがイラつきはじめる。
 里子は悪い子じゃないけれど、こうしてしばらくウジウジしてしまうところがある。

 終わったことをいつまでも引きずっていても仕方ないと思うのだけれど、切り替えがうまくいかないみたいだ。
「次回からはバレーだし。私、バレーも苦手だから絶対みんなの足ひっぱっちゃうし」

 次の授業のことまで心配している里子につい呆れてしまう。
「球技って難しいもん。誰だって苦手なときはあるよ」

「でもさぁ……」
 まだなにか言いたそうにこちらへ顔を向けてきた時、ドアのノック音が聞こえて麻衣たちが入ってきた。
 途端に場の空気が一転して華々しくなる。麻衣たちの声はオクターブ高く、どんなときでも騒がしい。

 里子はいいかけた言葉を飲み込んで手早く着替えを済ませると、逃げるように更衣室を出ていったのだった。