処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜

 汽車は時折揺れながらレールの上を走る。私は目を閉じて眠りに身を任せた。

「ナターシャ」

 目を覚ますと、汽車の内装が変わっていた。ああ、これは後宮専用の汽車と同じ内装だ。
 私が座っているのは、ベルベットの赤いソファ。

「ナターシャ」

 この声は間違いない、キムだ。私の隣に微笑みながら座っている。

「ナターシャ、どうだこの景色は…」
「陛下」

 キムのこんな笑顔、見た事あったっけ?妙な違和感を感じている。

「陛下?」

 するとキムは不気味に目を見開きながら笑って、帯刀していたナイフで私の胸を一突きした、所で夢から覚めた。

「はあ…はあ…」

 嫌な夢だ。まさか汽車の中でこのような夢を見るとは。呼吸は乱れて中々収まらない。

「ナターシャ、大丈夫か?!」

 リークが心配そうに声をかけてくれた。私は大丈夫というと大きく深呼吸する。

「ナターシャ、何があった」
「変な夢を見たの」
「変な夢…?」
「ええ…」

 すると、アナウンスが流れる。

「次が終着駅ザナドゥです」

 もうそこまで来ているのか。メイルが終着駅で降りる旨を話して再確認する。

「はい、私は大丈夫です」
「了解です」

 ザナドゥ。名前は聞いた事がある。海辺の街でのどかな場所という噂も後宮時代に聞いた。もしかしたらあれから変わっている部分もあるかもしれないが。

「ザナドゥ、ザナドゥです」
「皆、降りる準備をしましょう」

 メイルに促され、揺れる汽車の中でリュックサックを持って立ち上がると、リュックサックを背中に回して切符を用意する。

「ザナドゥ駅に到着しました」
「降りるわよ!」

 切符を持って改札にいる駅員に見せると、視界には果てしない海が広がる。どうやら一杯いた客も気がつけば私達含めて十数人程になっている。

「ナターシャ、あれが海か…」

 リークが目を大きく見開いて、海を見渡す。