私はリークの言葉を信じ、ウサギを抱いてリークと共に中庭の水鏡に入る。

「ついた…」

 メイルとマッシュが住まう家の右横にある大樹のうろに転移すると、たまたま外に出ていたメイルが出迎えてくれたのだった。

「あら!2人ともどうしたの?!」
「メイルさんすみません…実は…」

 リークが事情を話すと、メイルはすぐさま私達を家の中に入れてくれた。

「結論から言うとその子は魔力がある子ね」
「魔力を持つウサギ、ですか」

 と、リークがメイルの言葉を噛み砕くようにおうむがえしする。
 ちなみに魔力が使える獣というのは、10万分の1の確率で誕生し、それは人間以外どの獣にも当てはまる。なので魔力が使える犬や猫にネズミもいれば、クジラや虎だっているのだ。

(後宮には、魔力が使える黒猫がネズミ取りで飼われていたような)

「だけど、話を聞く限り、その子はまだ魔力の使い方に慣れていないみたいね」

 先程の爆発はそのせいだ。とメイルが教えてくれる。どうやら魔力の使い方に慣れていない獣は時々、こういった爆発を起こすのだそうだ。

「せっかくだし、この子は私が引き取って魔力の使い方をレクチャーするわ。魔法修行ってやつね」

 メイルからの申し出に、私とリークはほぼ同時にいいんですか?と告げる。

「勿論よ!この子の修行が終わって魔力を使いこなせられるようになれば、あなた達の元へ返すわ」

 メイルからのこの申し出は、断る理由が無い。私達はお願いします。とメイルに頭を下げたのだった。
 その後、念の為にリークの診察もメイルにしてもらったが爆発の際に受けたダメージはゼロだと分かった。

「この子のおかげね」

 メイルの言葉に私とリークは安堵の表情を浮かべる。

「ありがとう。助かったわ」
「ありがとう。礼を言う」