首の後ろをかきながら、ゆっくりと顔を上げた朝都。
フェンスに頬づえをつき、自信なさげな瞳を私に向けてきた。
ドクンとはねた私の心臓は、どんどん駆け足になっていく。
だからそういうギャップは沼なんだって。
強面オオカミさんが、弱ったワンちゃんみたいに瞳を揺らして見つめてきたら、誰だってキュンキュンしちゃうんだからね。
どうしよう……
朝都のワイルドで甘々な視線から、もう逃げられない……
「……別に今は……椿が俺の兄を好きでいてくれて構わないから」
「あっ、うん」
朝都の自信なさげな美声につられて、つい頷いちゃったけど……
「ちゃんとわかってるつもりだし。椿が人として完璧な昼夜に惚れるのは、当たり前だって」
ん? 今なんて?
なぜ、朝都のお兄さんの名前が出てきたの?
「でも俺にとって椿は、かけがえのない存在なんだ。運命の相手だと思ってる。椿以外に愛せる女はいないって、自信をもって言いきれる。だから」
「……っ」
「がむしゃらに自分を磨きまくって昼夜以上の男になったら、もう一度椿にプロポーズするから。せめてあと1年は、昼夜と結婚しないでほしい」



