総長様は恋の反抗期真っただ中



 「兄貴でいいのかよ、結婚相手」


 「お父さんの会社を継いでくれる昼夜さんには感謝だよ。一生をかけて尽くさないと、罰が当たっちゃいそう」


 はぁ~~、そうかよ。

 椿は兄貴を受け入れてるんだな。

 婚約破棄を悲しんでいるのは、俺だけってことか。



 兄貴は俺と違って、終始笑顔で物腰が柔らかい。

 大事な場面ではビシッと決断をしてみんなに指示を出す、優しさと度胸を持ち合わせている完璧男だ。



 なんで今まで、俺は気づかなったんだろうな。

 他人思いの椿が好きになるのは、俺じゃなく兄貴みたいな人だって。



 悪かった。

 オマエの秘めた恋心に気づこうともしないで、ガキの頃から椿の隣を陣取ってきて。



 もう解放してやるよ。

 生徒会だって、この初日の出イベントで俺らは引退なんだ。

 椿と関わらなきゃいけないことなんて、もう何一つない。