俺の肩から、椿の手が離れた。
紙を触っているようなカサカサ音が聞こえるんだが。
「ふ~。倒れなくてよかった」
ん?
「寒くて身震いしてたら、バランス崩しちゃった。とっさに朝都につかまっちゃってごめんなさい」
……なっなんだ、ただの事故かよ。
大好きな女に襲われるかと思って、ハートが爆ついたし。
俺の心臓にムダな負荷をかけんなっつーの。
「朝都お待たせ。目を開けていいよ」
うっ、マズい。
目を開けた瞬間に俺の瞳に映るのが、大好きな女の屈託のない笑顔だったら……
キャパオーバーで意識飛ばすかも。
もらった缶コーヒーを胸に当てて、うっすらゆっくり目を開けよう。
あれ?
俺の視界いっぱいに映っているものって……紙だよな?
A4サイズの白い紙。
大人っぽというか堅苦しい文字が、ズラズラ書き込まれているが。
なになに?



