屋上のフェンスに背中を預け、俺は目を閉じる。
視界が真っ暗な時って、なんで好きな女の残像が脳内に浮かび上がるんだろうな。
幼稚園から今までの思い出が、コマ映画のようにフラッシュバックしてくる始末。
――うわっ!!
驚き声がもれそうになったのは、いきなり俺の両肩がつかまれたから。
この手は椿のものだ。
俺の鼻をくすぐる柔らかい髪が、嗅ぎなじみのある甘い香りを放っているから間違いない。
椿の髪が俺の頬をくすぐっているということは、俺の顔面まぢかに椿の顔があるということで……
――まさか俺、椿にキスされそうになってる?!
俺が初日の出に願ったことって『椿にキスしてほしい』だったか?
いや違うよな。
バッ、バカ椿。
何を勘違いしてんだよ!
生徒がうじゃうじゃ集まってる元旦の屋上で。
生徒会長の俺と副会長の椿がキスとか。
目立ちすぎて、とんでもないことになるだろーが!



