「缶コーヒー?」
「ちゃんと甘くないブラックを選んだから安心して」
俺のために、わざわざ買ってきてくれたとか?
ヤバっ。
飲まずに永久保存。
部屋にまつっておきたいくらい、嬉しいんだけど。
「手袋をしていない朝都の手を見てると、こっちまで寒くなっちゃうんだもん。ホットの缶コーヒーを持っていれば、カイロの代わりになるでしょ?」
「……っ、頼んでない」
「どうせ私は、おせっかい女ですからね。アハハ~」
……ったく。
こういうところなんだよ。
俺が椿にズブ沼りする部分。
生徒会副会長として、生徒たちのことをよく見ている。
悲しそうな顔をした生徒がいれば、知り合いでもないのにさりげなく近づいて。
堪えていたツラさを泣きながら吐き出す生徒に、胸を貸してあげたりも。



