恋神様に願いを込めて

傘も忘れたし、どうしよう…。



「あれ?落合(おちあい)さん?」



名前を呼ばれ振り向くと、そこにいたのは充希先輩とその彼女の桜庭さんだった。



「奇遇だね、今帰り?あ、もしかして、傘忘れたの?」


「えっと…はい。あ、でも多分教室にあると思うので大丈夫です」



余計な心配をかけたくなくてそう嘘をついた。


先輩はそれを信じたみたいで「そっか、よかった。それじゃあまたね」と言って彼女と相合傘をして帰っていった。



「あの…!」



どうしようかなと空を見上げていると、今帰ったばかりの桜庭さんがなぜかこっちに戻ってきた。



「もしかして、上にも傘ない…よね?私折り畳み傘持ってるから、もしよかったら使って…!」



桜庭さんが鞄から傘を取り出して渡してくれた。その拍子に何かがぽろりと落ちて、足元に転がってきた。



「何か落ち…」


「うわあ!ロイ様が…!…よかった、傷ついてない。はっ、ありがとう、拾ってくれて…」



桜庭さんがハッと我に返ったように頬を赤く染めた。