恋神様に願いを込めて

レンくんと一度わかれ、恋愛映画のコーナーに行く。


この前晃が私のために借りて来てくれたビデオは、喧嘩した直後だったからとても見る気が起きなくて結局そのまま返してしまった。


まだあったりするかな…。



名前順に並んでいる棚を確認していくが、やっぱり人気なビデオなだけあってなかった。


それでもやっぱり見たいな…。あ、そうだ。予約できるか聞いてみよう。



「あ、すみません」


「はい?」



ちょうど近くを通りかかった男の店員さんに声をかける。



「えっと…あ、この作品予約できたりしますか?」



スマホで画像検索したものを店員さんに見せる。



「ああそれ。ごめんねーうちではその作品一つしかなくて、既に予約がいっぱいで。…そういえばニ週間前くらいかな?高校生の男の子も同じこと聞いてきて、どうしても借りたいってことだったから、他店舗さんに電話して在庫があるお店を探したんだよ。たまたま在庫があるってお店があってその子、すぐに借りに行ってたよ。でも隣の県で、わざわざビデオ一本のために行くのもどうかと思って送ってもらうこともできるよって言ったんだけど、なるべく早く欲しいからって言ってその日のうちにね」


「…え?」


「君もすぐに借りたいっていうなら、他店舗さんに聞いてみようか?」


「あの!もしかしてその男の子の名前って…晃、相澤晃って言ってませんでしたか!?」


「え?ああ、そうそう。晃くんだよ。…あれ?もしかして君、知り合い?」