彼の唇が離れると我に返る。

 ここって道端なのに。

「こんなところでそんなことしないでよ」

「誰も見てないから大丈夫だって」

「それでも嫌なの」

 嫌じゃないからいいけど。

「今まで誰かとキスしたことあるの?」

 彼の唇が離れた後、そう問いかけた。

「ないよ。ずっと好きだったんだから」

 そして、もう一度、あたしにキスをしてきた。



 こんなところでしないでといったばかりなのに。