姫を追放された私は一筋の光に救われた

「……が……だからだ」


「凪さん?」


「俺が総長だからだ。だからお前の魅力を知ってるし、お前が俺の姫になれば雪菜を一番近くで守ってやれると、そう思ったから」


「……」


今思えば不可解な点はいくつもあった。凪さんがゼウスの総長なら今までの凪さんの言動や行動は全て納得がいく。


「今まで隠してて悪かった。だが、どこで敵にバレるかわからない。だからゼウスの総長はMoonも含め、誰にも口外しないとゼウスで決めたんだ」


「ごめん、なさい。私、そんなことも知らずに……」


今まで隠し続けてきた秘密を私は無理やり聞いてしまった。凪さんが人に話せない秘密は誰にでもあるって話していたのは、この事だったんだ。


凪さんの言っていた本当の意味をわかっていたなら、こんなにも強引に聞き出したりしなかったのに。
私はなんてバカなんだろう。


「隠してた俺も悪いんだ。雪菜は誰かに話したりする奴じゃないって、わかってたのに。俺のほうこそ黙っててすまない」


「いいんです。むしろ、これで誤解が解けましたし」


「誤解?」


「ゼウスの総長は危険ですぐにキレるし恐ろしい人だから近付くなってウワサです」


「そんな噂が流れていたのか」


「凪さんは優しいです。私からこんなことを言うのもなんですが、私を正式にゼウスの姫にしてくれませんか?」


「!……当然だ。雪菜だったらいつでも歓迎だ」