姫を追放された私は一筋の光に救われた

「ゼウスには姫がいない」


「それって……」


だから私が姫に誘われたのか。蓮にとって姫は飾りだと言っていたけど、これで納得出来る。


私が姫として蓮の隣にいたから蓮は強気だったんだ。けれど、私はもう必要ない。でも、だったらよりわからないことがある。


そこまで姫を必要としてるなら、どうしてゼウスの総長本人が姫探しをしないのか。


「失礼なことを言ってしまうかもしれませんが、それでもいいですか?」


「あぁ」


私は頭の中で考えていることを凪さんに話した。これで凪さんが怒っても仕方ないと思ってる。だって私は部外者だから。関係ない人がここまで口を挟むなんて本当はダメなことだ。


「ゼウスの総長は存在してる」


「私を姫として認めたからには何かあるんでしょう?私と会ってもないのに、凪さんから聞いただけで総長さんが私を姫にしたがるなんて……ありえないです」


ゼウスの姫になりたくないわけじゃない。けれど、どうしても気になってしまうのだ。


もし、ゼウスの総長が蓮と同じだったら?また裏切られ捨てられての繰り返し。


あんな事、二度とごめんだ。次に追放されたら今度こそ人を信用できなくなる。