姫を追放された私は一筋の光に救われた

☆☆☆


「適当に座っててくれ。
俺は飲み物でも入れてくる」


「お、お邪魔します。凪さん、お家の方って……」


「ここには俺一人だ」


「そうなんですか」


ひ、一人暮らしだった。私、気軽にお邪魔して良かったのかな?むしろ邪魔になってない??


「紅茶でいいか」


「はい。その……凪さん、私と同じ学校だったんですね」


「黙ってて悪かった」


「いえ、私も聞かなかったですし」


ゼウス組がそもそも謎が多いし、凪さんは中3だから自由登校だもん。そりゃあ気付かなくて当然だ。


「とりあえずゼウスの総長に話をして雪菜がゼウスの姫になっていいと許可が下りた。雪菜が迷惑じゃなければ、このまま姫になってほしいとゼウス組は皆そう思っている」


「それはゼウスとMoonのお話を聞いたあとでもいいですか?」


「構わない。それなら次はゼウス組の話だな。元々氷河中学はゼウス組しかいなかったんだが、それに反発する者が現れてMoon組が作られた。俺の……いや、ゼウスの総長の方針が気に食わない奴らがいても不思議じゃない。気付けばMoonは大規模の暴走族チームになっていて、いつの間にか学校はMoon組が仕切るようになったんだ」


「でも、ゼウスはMoonよりも上なんですよね?だったらお願いすれば聞くんじゃ……」


「そう素直に言うことを聞く奴らじゃない。それにゼウスには致命的な欠点がある」


欠点?ゼウスの総長があまり顔出ししない、とか?ここまでの話を聞いても、凪さんを通じてじゃないと総長の話は聞かない。実は総長は存在してないとか?