「しっ。騒ぐと先生に怒られるよ」



昔と変わらない、
その艶やかな、自身のくちびるに。



そっと、人差し指を乗せて、
簡単に、〝黄色い歓声〟を落ち着かせる先輩。



彼こそが、
私が通う中学校の生徒会長。



古関大河(こせきたいが)先輩。



古関グループの御曹司という立場で、
頭も良くて、おまけにルックスも完璧。



なんなら、
噂によると、〝婚約者〟までいるらしい。



きっと、
〝何も〟知らない人からしたら。



──────羨ましい。



そうなってしまうほどの立場の人。



でも、実際は違う。



古関先輩は........................



元々、私が今もいる養護施設にいた人。