千代華と、湊は付き合っていた。


俺はその事に、妹のことを思えず、……絶望した。



いつだって、湊の人生を狂わすのは千代華だ。記憶喪失でなんにも知らない千代華が、湊のそばにいていいんだろうか、


いや、
そんな関係、いらないだろ?


そう思ったんだ。


だからあの時、電話して。


別れ、させたかった。



でもそんなの無理で。

千代華の記憶に残りたい。そういった。


留学で、初恋に傷をつければきっとずっと心に残る。


湊、お前はいつからそんなふうに、かんがえるようになったんだ。



耳にまだ残っているピアスの跡。


それが俺を異常に、俺を虚しくさせるんだ。


……わかってる、どんなことがあったって、きっとお前はずっと千代華が好きなんだろう

☆☆☆


「お兄ちゃんっ、結婚おめでと」

「、ありがと。」


なんだかんだ、俺たちはよくやってきたと思う。辛さを乗り越えて、心をほんの少し傷つけながら。

俺は今日最愛の人と結婚する。


君と出会った夜は、まだ辛さを思い出させる。でも、最愛の人と出逢えた日はきっと君がいなきゃ作れなかった。



嘘つきな君と俺は、ずっと友達でいたい。



そう、心から願う。


一途で嘘つきな君に、最大級のありがとう。





君と出会った夜
尚大side



END