どうすれば……あ、そうだ。


「反対側の団子もくずしていい?」

「え? う、うん……いいよ」


俺は、もうひとつの団子をくずした。

くずすときにピンやゴムで団子が作られていることを知り、これならもとの形に戻せそうだと思ったけど……。

団子は作らずに、髪をひとつにたばねてゴムで結んだ。

いわゆる、ポニーテールってやつだ。


「できた」

「え、すごい! 鷹見くんは髪も結べるの?」

「まあ」

「執事科ってこんなこともできるんだ」


そんなわけねえじゃん。さすがに教わらないよ。

校外学習の保育園でたまたま覚えただけ。


「ありがとう。やっぱり鷹見くんはすごいね」


宮戸さんが振り返ってお礼を言ってきた。

純粋だなあ。


でも、すごいってほめられているのに、なんか釈然としない。

『鷹見くん』

やっぱり呼び方のせいだろうか。


「悠琳」

「ん?」

「悠琳って呼んで。俺も璃衣って呼ぶから」

「ええ!?」


驚く宮戸さん。