チセはなかなか友達ができなかった。クラスではいつも独りだった。
「なんか、黒田さんて、不気味だよねえ」
クラスの女子のグループが噂していた。
「気味わるうい」
「グループに入らないのかなあ」
「あんた声かけてみなよ」
「えええええええ」
廊下を歩いても、「あ、黒田さんだ」「不気味だよねえ」「気味悪い」「挙動不審だよねえ」「そんな感じで歩いている」とか言われた。
昼食も独りだった。
「黒田さん独り弁してるう」
と、女子のグループ。
「しーっ」
「なんか食べてるう」
ある日のこと。その日は空がどんよりし、曇っていた。
野いちご学園高等部。
野いちご学園高等部と彫られた正門。
普通科教室棟校舎。
お城のようなレトロな校舎。
普通科教室棟校舎3階廊下。
1年C組の札。
1年C組教室。
黒田チセは後ろの方の席で独りで机に座っていた。
「ねえ、黒田さんて、髪の毛わけてるよねえ」
「なんでかなあ」
と、女子。
「黒田さんて、性格悪いよねえ」
「性格最悪」
「性格おかしいよねえ」
「おかしい」
「黒田さんってヤンキーじゃない」
「そうだよねえ」
「挙動不審だよねえ」
橋本ここなは、それらの妄想のような誹謗を黙ってきいていた。
ここなはポニテ―ル。ピンク色の大きいリボンをしている。ここなは、こぶしをぎゅっと握った。ここなは、チセの座っている机へ行った。
「え、橋本さん?」
チセはか細い声でいった。
「黒田さん」
と、ここなは笑顔で話しかけた。
「ええええええ、ここなんが、黒田さんに話しかけてるよお」
と、男子。
「ショックー」
と、男子。
「え、橋本さんが、黒田さんに」
と、女子。
「クラスの人気者がクラスの嫌われ者に上から目線で慈悲ってわけ」
と、女子。
ここなは、こぶしを握り締めた。汗がにじみ出る。
高瀬君が不安げに見ていた。
「黒田さんてさあ、いつも何してるの」
「え」
「え、いや、いつも独りだから何してるのかなあっと思って」
「ああ、占いやったり、本読んだり」
「へえ、占いとかやるんだ・・・・・・・」そのあと、「やっぱり」とここなは、小さくつぶやいた。
「え」
「あ、なんでもない」
ここなは、黙った。
「どんな本読むの?」
「え・・・・・・・、都市伝説とか、占いとか、オカルトとか」
「ふうん」
ここなは考え込んだ。
「なんで黒田さんって、独りなの?」
「うううん、独りが好きっていうか。それに私、小さいころから色々見えるし、それで、みんなが不気味がるのかも」
「見えるって?」
「幽霊とか妖精とか」
「えええええ、きしょおいいいいい」
と、クラスの女子。
「何それ、幽霊とか妖精がみえるって」
と、女子。
「まさか、そんなんで男子の気をひこうとしてるんじゃあ」
と、女子。
「な、わけねえよ、そんなんでひかれるかよ」
と、男子。
「なあ」
と、男子。
ここなは、こぶしをぎゅっと握った。
「はあい、皆さん、注目っ!」
と、ここなが大声を出した。
皆が止まった。
「お、宇宙一の美少女から発表があるぞ」
と、男子。
「橋本さあん」
と、男子たち。
「みんなのアイドル黒田さんの呼び方が決まりましたあ」
女子が噴出した。
「ははは、もう一人のアイドルか」
と、男子。
「黒田さんの呼び方はあ・・・・・・悪魔にけってえ」
ここなは大きい声でいった。
「おお」
皆が歓声をあげた。
高瀬君がチセを見た。
高杉シンが
「悪魔」と、手をたたいてはやした。
「お、おいシン」
と、シンの友達の茶髪セミロングの男子圭吾。
皆がはやし始めた。
「あくま、あくま、あくま、あくま・・・・・・」
「え」
と、高瀬君がみんなを見た。
チセはうつむいていた。それをここなが見た。
「はあい、悪魔コールやめい」
と、ここなが大きい声でいった。悪魔コールがやんだ。
「悪魔かあ」
「ぴったりじゃない」
「性格悪いしなあ」
「性格最悪」
「性格ワル」
みんなが口々にいった。
「なんか、黒田さんて、不気味だよねえ」
クラスの女子のグループが噂していた。
「気味わるうい」
「グループに入らないのかなあ」
「あんた声かけてみなよ」
「えええええええ」
廊下を歩いても、「あ、黒田さんだ」「不気味だよねえ」「気味悪い」「挙動不審だよねえ」「そんな感じで歩いている」とか言われた。
昼食も独りだった。
「黒田さん独り弁してるう」
と、女子のグループ。
「しーっ」
「なんか食べてるう」
ある日のこと。その日は空がどんよりし、曇っていた。
野いちご学園高等部。
野いちご学園高等部と彫られた正門。
普通科教室棟校舎。
お城のようなレトロな校舎。
普通科教室棟校舎3階廊下。
1年C組の札。
1年C組教室。
黒田チセは後ろの方の席で独りで机に座っていた。
「ねえ、黒田さんて、髪の毛わけてるよねえ」
「なんでかなあ」
と、女子。
「黒田さんて、性格悪いよねえ」
「性格最悪」
「性格おかしいよねえ」
「おかしい」
「黒田さんってヤンキーじゃない」
「そうだよねえ」
「挙動不審だよねえ」
橋本ここなは、それらの妄想のような誹謗を黙ってきいていた。
ここなはポニテ―ル。ピンク色の大きいリボンをしている。ここなは、こぶしをぎゅっと握った。ここなは、チセの座っている机へ行った。
「え、橋本さん?」
チセはか細い声でいった。
「黒田さん」
と、ここなは笑顔で話しかけた。
「ええええええ、ここなんが、黒田さんに話しかけてるよお」
と、男子。
「ショックー」
と、男子。
「え、橋本さんが、黒田さんに」
と、女子。
「クラスの人気者がクラスの嫌われ者に上から目線で慈悲ってわけ」
と、女子。
ここなは、こぶしを握り締めた。汗がにじみ出る。
高瀬君が不安げに見ていた。
「黒田さんてさあ、いつも何してるの」
「え」
「え、いや、いつも独りだから何してるのかなあっと思って」
「ああ、占いやったり、本読んだり」
「へえ、占いとかやるんだ・・・・・・・」そのあと、「やっぱり」とここなは、小さくつぶやいた。
「え」
「あ、なんでもない」
ここなは、黙った。
「どんな本読むの?」
「え・・・・・・・、都市伝説とか、占いとか、オカルトとか」
「ふうん」
ここなは考え込んだ。
「なんで黒田さんって、独りなの?」
「うううん、独りが好きっていうか。それに私、小さいころから色々見えるし、それで、みんなが不気味がるのかも」
「見えるって?」
「幽霊とか妖精とか」
「えええええ、きしょおいいいいい」
と、クラスの女子。
「何それ、幽霊とか妖精がみえるって」
と、女子。
「まさか、そんなんで男子の気をひこうとしてるんじゃあ」
と、女子。
「な、わけねえよ、そんなんでひかれるかよ」
と、男子。
「なあ」
と、男子。
ここなは、こぶしをぎゅっと握った。
「はあい、皆さん、注目っ!」
と、ここなが大声を出した。
皆が止まった。
「お、宇宙一の美少女から発表があるぞ」
と、男子。
「橋本さあん」
と、男子たち。
「みんなのアイドル黒田さんの呼び方が決まりましたあ」
女子が噴出した。
「ははは、もう一人のアイドルか」
と、男子。
「黒田さんの呼び方はあ・・・・・・悪魔にけってえ」
ここなは大きい声でいった。
「おお」
皆が歓声をあげた。
高瀬君がチセを見た。
高杉シンが
「悪魔」と、手をたたいてはやした。
「お、おいシン」
と、シンの友達の茶髪セミロングの男子圭吾。
皆がはやし始めた。
「あくま、あくま、あくま、あくま・・・・・・」
「え」
と、高瀬君がみんなを見た。
チセはうつむいていた。それをここなが見た。
「はあい、悪魔コールやめい」
と、ここなが大きい声でいった。悪魔コールがやんだ。
「悪魔かあ」
「ぴったりじゃない」
「性格悪いしなあ」
「性格最悪」
「性格ワル」
みんなが口々にいった。


