暖かな日差しがバスの中に充満する。
 


古いバスは乗り心地が良いとは言えなかったが、春の予感が窓から乱反射していて、気持ちは軽かった。



舞子さんは俺と再会した3か月後に亡くなった。



彼岸を過ぎた山道を登るバスには太陽からコピーしたような黄色のスイートピーとバラ、そしてスズランが遠慮がちに微笑んでいた。



舞子さんは自分の中では18歳のままだったから、かわいい花を送りたくて、駅前の花屋で花束を買った。




陽菜の案内でお墓参りを無事に終え、帰りは国道のバイパスまで歩いていくことにした。





「もしさ、舞子さんと俺が同じ時代に生きてたらどうなってたのかなって考えるんだ。そんなこと考えても仕方ないけど」




陽菜は黙って聞いている。