「あんまり佐藤先生困らせないでよ、若い先生なんだし」






課題を残しておかないと舞子さんに会えないという言葉をぎゅっと飲み飲む。





対して、陽菜は英語だけくどくどと話し続けている。




陽菜の足が止まる。



「まじか!」



こちらを見た陽菜の顔が赤くなったと思いきや、目には涙が溜まっていった。




「好きだったら……何か悪いの……」






ごめんという言葉が発せられる前に、陽菜は走り去ってしまった。





「何やってんだろ、俺。茶化すところじゃなかったろ……」




呟いた言葉を拾ってくれる人はいなかった。