愚かなキミの、ひと目惚れ事情。【完】





──好きでいてくれるの?

これといっていままで接点もなかった私を、どうしてここまで理解して、どうしてここまで愛そうとしてくれるんだろうか。





「キミがね?書道教室であんなにも綺麗に笑ったから。裏表のない、単純に好きっていう思いを筆に乗せていた姿を……見ちゃったからかな?」

「え?」

「あんなふうに純粋な笑顔を、俺にも向けてもらえたらなあって思っちゃったらもう最後。キミの後をついて回るくらいに好きになってたよ」

「後ろを……ついて?」

「今のはミス。ポロッと出ちゃった」

「気持ち悪い」

「なっ!気持ち悪いはひどいよ!俺が葉ちゃんをストーカーしてたおかげで、あの夜変な男に葉ちゃんを持っていかれずに済んだんだからね!」

「あれは……感謝してる。ありがとう」

「いいよ。初めてお礼言われたからキュンとした」

「やめて」