愚かなキミの、ひと目惚れ事情。【完】





だから今、怖いんだ。


突然みんなの輪の中に突き落とされて、痛かった。

外された鎖の痕は、痣となって私を苦しめた。




「だから、その価値はこれから俺が見つけてあげる」

「……っ」

「葉ちゃんっていう女の子が、どんなに美しくて、綺麗で、儚いのか教えてあげる」

「……」

「葉ちゃんはただ、俺に愛されてればいいんだよ。キミの居場所は、俺のとなりだってこと。今はそれだけ覚えておけば大丈夫だから」

「私の、居場所?」






ニコッと笑った瀬名川は、自信たっぷりにそう言う。



その言葉に、本当に頷いてもいいのだろうか。

その言葉を、本当に信じてもいいのだろうか。




これもまた、選択肢の一つだ。




「例えば、葉ちゃんのクラスの女の子達はこれから、いろんな出会いと別れを経験すると思うんだよね。たくさんの人と出会って、自分を一番愛してくれる人を選んで結ばれていくと思うんだけど」



「……」



「葉ちゃんはこれから先ずっと、俺が誰よりもうんと愛してあげる。どんなカップルと比べられても構わないくらい、めちゃくちゃに愛してあげるよ。そんな"特別な女の子"にしてあげる」

「どうしてそこまで私を……」