愚かなキミの、ひと目惚れ事情。【完】





「ねぇ、葉ちゃん。お付き合い一週間記念日に何か欲しいモノある?俺何でも買ってあげるよ」

「じゃあハイブランドのリングでよろしく」



"何でも"なんてバカじゃないの?


瀬名川に特別恨みもなければ、むしろあのとき助けてくれたことを感謝しなければならない立場ではあるけれど、どうしてもこの憎まれ口は直らない。




どうして私なんかのことが好きだなんて言えるの?

一体何が目的で一緒にいるわけ?

唯一の取り柄を失くした今の私に、得るモノなんて何もないのに。





そう思うと揶揄われているのではないかとさえ思えて、だから私に近付いてこようとする彼を突っ撥ねてしまいたくなる。


これ以上、惨めな私を見ないで、と。

これ以上、堕落した私に触れないで、と。