万が一脳に問題があっても、ベリが丘総合病院に入院なら気持ちが楽とのことで、俺と一緒になってくれるらしい。

 俺は亜矢ちゃんと結婚することができたとしても、この結婚は脳ドックが終わるまでの半年間の契約結婚になる。

 『脳ドックのための契約結婚』こんな馬鹿げた話は通常ない。けれど、俺はそれでも彼女と一緒になりたい。

「……分かった。脳ドックが終わるまでの半年間」

 そう告げると亜矢ちゃんは真剣な面持ちで頷いた。

「俺の妻になってほしい。そして半年後、約束通り離婚しよう」

 数秒前に告げたプロポーズとは全く異なる感情で、俺は再度プロポーズをする。時間差で、同じセリフがこんなに複雑な気持ちになることはこれが最初で最後だろう。