憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。



「美味しいです!」


 箸が止まらずに食べ続けていると、仁田先生は「でしょ!」と、また強く頷いた。仁田先生はグラスに入った烏龍茶を飲みながら、

「そっか、一週間かー、一週間したら亜矢ちゃん帰っちゃうのかー」

 と寂しそうに嘆いた。

 昨日会ったにも関わらず、仁田先生はとても心を許してくれていると思う。そのことがとても嬉しい。

「仁田先生はいないんですか? 気になってる人……」

 仁田先生のことをもっと知りたくて、直球な質問を投げかけてしまった。

 すると、にやりと笑みを浮かべながら、「実はねー、いるのよー」と、頬に手を当て乙女のような仕草をした。

「もしかして柳先生ですか?」

 なんとなく、柳先生は仁田先生のことが好きなんだろうなと思ったため質問してみると、

「ちっがうわよ! 誰があんなメガネ! 柳先生の後頭部少し剥げかかってんだからね!」

 柳先生をメガネと読んだ挙げ句、後頭部を指摘しながら否定した。

 仁田先生の好きな人は柳先生ではなかった。