「仁田先生、わざわざ迎えにきていただいてありがとうございます。体調は大丈夫ですか?」

 お礼を言いながら車に乗り込むと、仁田先生は「わざわざありがとう」は私のセリフーと、とてつもなく上機嫌で笑っている。

「大丈夫、エナジードリンク飲んできたからね! 元気ハツラツ! それより亜矢ちゃんご飯は食べた? もしまだなら、サウスエリアのショッピングモールで一緒に食べない?」

「いいんですか?」

「もちろん! 超人気のイタリアンがあるの! このイタリアンを食べるために来る人も多いのよねー」

 食べ物の話でキャッキャしている仁田先生がかわいい。仁田先生の私服姿も凄く上品でとても華がある。黒のVネックに茶色のロングスカート。上からは緑色の厚手のチェック柄のジャケットを羽織っている。とても大人っぽい。

 対して私は白のハイネックにカジュアルなパンツ。一緒に並んで歩くのが恥ずかしいくらいだ。

 仁田先生が一番聞きたいであろう本題に入ることはなく、タクシーはショッピングモールの駐車場へと到着した。