憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。



 莉緒香に今すぐに確認したいけれど、女の先生は隙を与えない。二人のやりとりは続く。

「明後日は来れないです。夜、予定があるので」

「うーん、そっかぁーじゃあ亜矢ちゃんだけ来れないかなー?」

 女の先生は媚びるような目で私を見た。

 先生たちが良ければ私ももっと話したい。

「……え、えっと」

 ちらっと莉緒香に目を向けると、莉緒香は睨んだような、そんな強い目で私を見ていた。

「つーか、旦那もいるんじゃ亜矢ちゃん友達の家に行かない方がいいんじゃない? ほら、言っちゃ悪いけど間違いがあるかもしれないしさー」

 綺麗な女医の先生の隣に座っている麻酔科の先生と思われる人が、「そうだよね?」と言わんばかりに女の先生と羽倉先生に同意を求めた。

 ……莉緒香の視線が刺さる。高校の時からそうだ。私は卒業した今も莉緒香を前にすると逆らえない。

「スミマセン、家で莉緒香の旦那さんも心配してくれていますので、これで失礼します」

 先生達に頭を下げこの場を後にしようとしたとき、羽倉先生が私の腕を掴んで引き留めた。振り向くと、とても焦った表情で私を見ている。

「番号、教えて!」

「……へ」

「連絡するから、番号教えて」

「……は、はい……」

 ーー私、羽倉先生に番号聞かれたの? 今何が起こっているのか頭がついていかない。

 スマホを取り出そうとした時、莉緒香が私の元へ近寄り腕を強引に引いた。

「ま、待って莉緒香。まだ私連絡先……」

「いい、交換しなくていい。アンタに羽倉先生は全然つり合ってない」