憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。



「へぇ、それはすごい再会だね。羽倉先生運命の人見つけちゃったんじゃないですかー?」

 羽倉先生の向かいに座っていた女の先生が私たちの会話を聞いて、「このこのー」と、羽倉先生の頭をツンツン指で突いた。

 運命の相手? もしかして、この先生は私のことを言ってるの!?

 「私は羽倉先生の身の丈にあっていませんし、家も貧乏です! こうしてお話ししてくださるのさえ恐れ多いです」と否定していると、莉緒香が切羽詰まった様子で「亜矢、帰ろう」と私に大声を出した。

 しまった、莉緒香をそっちのけで盛り上がってしまっていた。

 莉緒香は高校の時、クラスの中心にいたこともあってか、高校を卒業してからも自分中心になることが多かったのだろう。この状況に自分が入れていないことに苛立っているように見えた。

「う、うん! 帰ろうか!」

 先生達の側から離れようとすると、「まあまあ、いいじゃないのー亜矢ちゃんの綺麗なお友達も一緒に呑もう?」と、綺麗な女医さんは莉緒香に「こっちにおいで」と手招きをした。

「い、いや、でも……私、旦那が家で待ってるので」

「そうなの? じゃあ、亜矢ちゃんはしっかりキミの家に送り届けるから悪いけど住所教えてくれない? 住所を書いてくれた紙は亜矢ちゃんに持っててもらうから」

「無、無理です、すみません……」

「うーん、そっかぁ。羽倉先生、明日は当直だしねぇー。それなら、明後日またここに来れない?」

 女の先生は私たちと話し足りないのか莉緒香にぐいぐいと質問をするが、私は今この瞬間、莉緒香に対して違和感を覚えた。

 『旦那が待ってる』って……何で?

 旦那は出張だから遊びに来てって言ってくれたはずなのに。旦那がいるのなら、莉緒香の家には泊まれない。