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 私の親はお爺ちゃんの遺産で生活しているのかと思っていた。だから特別聞いたりしたことはなかったけれど、全て私の勘違いだった。

 和登さんが私の両親と打ち解けてくれてよかった。

 私の親が結婚を許してくれてよかった。

 和登さんのことをこんなに気に入ったら、離婚するとき酷く怒られるかもしれないけど、その時は一人で頑張って生きていく。

「じゃあ俺は先に戻ってるから、引っ越しの当日まで無理しないで。婚姻届、出しとくね」

 和登さんがベリが丘に帰るまでに、荷造りや部屋の掃除を一般にしてくれた。退去の手続きや引っ越しの手続きも慣れた手つきで進めてくれた。

 ベリが丘に戻った時には既に夫婦になっているだなんて、とても変な感じがする。布団に寝転がって天井を見つめる。

 こんな形でここを出て行くだなんて思ってもいなかった。そんなことをぼんやり考えていると、いつの間にか眠ってしまっていたようで、和登さんの着信音で目が覚めた。

「はい! 亜矢です!」

『亜矢、いきなりで悪いんだけど羽倉家の使用人だった赤間さんに、亜矢の手伝いをしてもらえるように向かわせてもいいかな』