憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。



「そんな! 和登くんにそこまでご迷惑おかけするにはいきません!」

 『ご迷惑』という言葉に、ふと、亜矢が口癖のごとく言っていたことを思い出した。この家族は謙虚で思いやりがあって凄く守りたくなる。

「俺は迷惑をかけられたくて亜矢さんと結婚するわけじゃないんです。幸せになりたいからです。なので、俺に「迷惑」とか、そういうことは思わないでください」

 亜矢のお義父さんとお義母さんは涙ぐみながら「ありがとう」と感謝の言葉を口にしてくれた。


 けれど、今から言う言葉は感謝として捉えられるだろうか。
 「ありがとう」なんて言われそうにない話を、今からご両親に説明する。

「お義父さん、お義母さん。話が飛んでしまい申し訳ないのですが、亜矢さんは半年後うちの病院で脳ドックを受けます」

 お義母さんは俺の言葉に、

「…………脳、ドック」

 と呟いた。


「亜矢さんはめまいや立ち眩みが以前に増して起こることから仕事を辞めています。咲村さんは未破裂脳動脈瘤からのくも膜下出血で亡くなられていますよね」

 そう質問をすると、ご両親は「はい」と頷いた。

「もしかして、亜矢がそうだと……!?」

「亜矢さんは他の病院では過労だと診断されたみたいです。本当にただの過労なら問題はないのですが、もし脳に異常がみつかれば、経過観察か、外科的手術か、いずれかの選択は必要にはなります」