憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。



 ふと頭に過ったモヤモヤが和登さんの言葉で流れていく。

 なるほど、と感心していると和登さんは指輪をジュエリーボックスから取り出し、私の左手を手に取った。そして、薬指にそっとはめてくれた。

「うん、似合うね」

「本当に、ありがとうございます」

 いずれは離婚するのに、私が希望した指輪まで買ってくれて嬉しくて涙が出た。

 もらってしまっても良いんだろうか。

 嬉しいのに、私は和登さんに、何もしてあげられることがない。

「そろそろ出ようか」

 和登さんの合図でお店から出て、車を走らせる。今向かっているところは、ノースエリアにあるという、和登さんのご両親の家だ。

 和登さんのご両親、どんな人なのだろう。

 不安で仕方なく、運転してくれている和登さんに問いかける。

「私……和登さんのご両親に受け入れていただけるでしょうか」

「ん?」

「半年しか夫婦じゃないなんて言ったら反対されないでしょうか」

「うん、だから言わない。俺は亜矢と夫婦になりたいから、余計なことは言わないで。あと、『半年』って考えるのはやめてほしい」

「……は、はい」

 半年も一緒に過ごせる。和登さんのご両親を騙すみたいで申し訳ないけれど、いい加減気持ちを切り替えなきゃいけない。