憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。



 和登さんの言葉を聞いた亭主はほほう、と頷いた。

 和登さんは服のポケットから、先ほど購入したと思われるネイビーのジュエリーボックスを差し出した。見た瞬間に緊張感が走る。

 ここで渡されるんだと思うと、まだ開いてもいないのに、嬉しくて涙が溢れそうだ。

 少しの間でも和登さんと一緒にいれるのは嬉しい。

 和登さんは、

「大切にするから、受け取ってください」

 プロポーズの言葉を口にし、箱を開けると出てきたものは私がこれが欲しいとお願いしたシンプルな指輪だった。


「和登さん、ありがとうございます。嬉しいです」

「婚約指輪ってことで。喜んでもらって良かった。名前もね、内側に掘ってもらったんだ」


 ……聞き間違いだろうか。『婚約』と言われた気がする。私が今受け取る指輪は『結婚指輪』のはずだ。なので、

「……結婚指輪ですよ?」

 和登さんに聞き返すように確認した。けれど、和登さんは私の問に答えようとはせず、

「俺はね、どうしても仕事柄緊急オペが入ったりするからネックレス仕様にしてもらった。これだっら外すことはしなくてもいいし、無くさないしね」


 普段身につけられる仕様に変更した、と、見せてくれた。