何十にも重なる朱色の墨が、美しい少女にも少年にも見える横顔をつむいでいた。どちらなのだろう?とマサキはソレに見惚れ、ちうに『ちう?』と首を傾げられ、ソレにも無反応だからガブりと左耳をくわえられてしまった。いってぇ(泣)と正気にかえったマサキは、メッとちうに怒るが、ちうは相変わらず『ちう?』と首を反対の方向に傾げ、つぶらな2のひとみで見つめていたから、マサキは何でもないと諦め、老婆に見えたその女性に朱色の線が幾本にも重ねられた半紙を渡そうと、飛んできたよ。ほら、オネェさんと声をかけた。そしたら、小柄で見事に白髪な少女がくるりとふりかえった。その口元は下唇を食いしばり続けたのか血がタラリと流れてた。