最初はしわくちゃな老婆に見えたソレは、朱色の墨で、ひたすら何かを描きなぐっていた。ボツになる半紙が風に泳ぎマサキの顔に覆いかぶさった。ソレをすかさずちうがくわえ、マサキはけほけほと激しく息をした。
ちうがくわえた半紙を受け取り目にその画像をいれたマサキは『ちゃちゃっるん!』と鳴くちうの声を最後に深く深くその画像に魅入った。
ソレは厳密にいうと違うのだが、その時のマサキには、ソレこそが謎のイラストレーターnezasaの『華絵 彼岸花』と確信させた。