縁結び−変わる勇気をくれた君と、秋の風―


しばらくしてから、カイドンが引き戸を開けて教室に入ってきた。それに続き、大地が教室に入ってくる。


大地を見た女子たちは、明らかにソワソワしている。


「きりーつ!」

日直の号令と共に、生徒たちが立ち上がる。
カイドンはその間に壇上にのぼった。


「れーい!ちゃくせーき」

頭を下げた後、生徒たちは席についた。


壇上に立ったカイドンは、大地を手招きし、壇上に上がらせた。


「みんなおはよう!今日はみんなに新しいクラスメイトを紹介する。転校生の西嶋大地くんだ。」


カイドンは後ろを向き、黒板に豪快な文字で『西嶋大地』と書いた。


「今日からウチのクラスでみんなと過ごす。仲良くしてくれよー!」


ハハハっと笑いながら、カイドンは大地の背中を軽く叩くと
「西嶋からも、みんなに挨拶してくれ。」
と言って、自己紹介するよう促した。


ハイ、と返事をした大地からは、既に爽やかさが溢れ出ている。


憧子と目が合うと、にっこりしてまたクラス全体に目線を向けながら挨拶した。


「西嶋大地です。東京からこの地域に引っ越して来ました!父の仕事の都合での転校なので、時期が中途半端になっちゃったけど、これからみんなと仲良くしたいなって思ってます!よろしくお願いします!」


パチパチ…と、クラスのメンバーが拍手する中、女子たちが顔を見合わせながら、口々に「ねぇ、さっき笑ったのかっこよかったね!」と興奮気味に話している。