「この『良縁』の御守りはいかがですか?人間関係の幅を広げてくれると思いますよ。」
「お!良縁かぁ〜。いいね。これにします!」
ブルーの小さな御守りを手にした大地が千円札を差し出した。
お釣りを憧子が渡すと「サンキュー」と大地がお礼を言う。
「じゃ、そろそろ行こっか、大地。」
姉に促され大地も去ろうとした時、
大地が「あ、そうだ!」と言って
くるっと憧子の方を振り返った。
「ちょうど持ってたから、ハイ、これあげる!」
大地が差し出した手の下に
憧子が自分の手を差し出すと、
手のひらに飴玉の包みが1つ落ちてきた。
「仲良くなったしるしに!飴あげる。」
嬉しそうに笑う大地。
恥ずかしさを紛らわすように
「おばけじゃないからお菓子渡さなくても大丈夫なのに…」
と憧子は言った。
「あははっ!佐敷さんって、面白いねー!仲良くなれてよかった!」
憧子の自虐を笑い飛ばすと、大地は
「じゃあ、また明日ねー!」
と言いながら、手を振って去っていった。



