次の日の日曜日。
程よくひんやりとした朝の空気を感じながら、憧子は袴を身に着けて境内を掃除していた。
昨日、大地のお姉さんに教えてもらったハーフアップのヘアスタイルを自分でやってみて、いい感じに仕上げられたこともあって、とても気分がよかった。
──おかっぱ頭も卒業。もう『ざしきわらし』なんてあだ名で、呼ばせないんだから。
ヘアスタイルが変わったことで、自分に自信が持てるようになっていた。
「佐敷さん、はよ!」
後ろから声をかけられ、振り向くと。
「西嶋くん!」
大地が爽やかな笑顔を憧子に向けながら憧子の方へ向かってくる。
憧子のそばまできた大地に、笑いかけながら挨拶した。
「昨日はありがとう!ちょうど、西嶋くんのこと考えてたとこ。」
「え!?」
大地は顔を真っ赤にして嬉しそうに
「俺の何を考えてくれてたの?」
と尋ねてきた。
「昨日、西嶋くんとお姉さんのおかげで、クラスのみんなと仲良くなるきっかけを作れたから。だからお礼、何かしたいなって思って。」
憧子がそう言うと、大地は嬉しそうに笑った。
「お礼なんて、いいよ!気ぃ使わないで!でもよかった、力になれて。」
「うん、おかげで勇気出せたからね。ホント、ありがと。…ところで、今日は何しに来たの?」
憧子が首を傾げると大地は「あー…うん。」と言いながら、ポリポリと頭をかいた。



