「ここの神社に、座敷童子がいるって、ホント!?」


その言葉を聞いた憧子は、思わずガクッと項垂れる。


さっきの下品な同級生の男子たちから、憧子の悪口を聞いたに違いない。


事情を知らないであろうイケメン男子は、期待で目をキラキラさせながら、憧子からの答えを待っている。



「…それ、私のことです。」



そう言うと、彼は「え!?」と驚いた表情を見せた。



「キミ、座敷童子なの?ホンモノ!?」


「違う違う!そうじゃなくて…」



憧子は彼の前まで近づき「こっちに来て」と言うと、社務所に案内した。


「これ、見て。」


社務所の入口横から入ったフローリングスペース。


そこに、書道をしている生徒たちの作品を展示していた。


その中でも端に貼っていた作品の1つを憧子は指差し、彼に説明した。


「ほら、ここの名前のとこ、見て。私『佐敷憧子』っていうの。字面(じづら)が『座敷童子』に似てるのと、神社にいるからっていう理由で同級生の男子から『ざしきわらし』って呼ばれてるの。」


一通り説明をして、彼の方をちらっと見やると

「あ、そういうことかー」
と、ちょっと残念そうにしている。